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第25回 社会的ひきこもり

ひきこもり”状態の人は今や100万人以上ともいわれ、一過性の流行とはいえない社会的問題になっています。ひきこもりの状態は統合失調症などの精神疾患に付随する症状でもありますが、現在問題になっているひきこもりは精神疾患ではありません。1000例以上のひきこもりの臨床例持つ精神科医の斎藤環は、そういうひきこもりを「社会的ひきこもり」として、20代後半までに問題化・ひきこもりが6ヶ月以上続いていること・ほかの精神障害が原因ではないこと、と定義しています。ひきこもりといえば10代を想定しますが『全国ひきこもりKHJ親の会』の統計によると、小中学生以外のひきこもり者の平均年齢は26.6歳、20代後半から30代が6割以上を占めています。ひきこもり年数も長期化していて、その分両親の高齢化も問題となりつつあります。さらに、ひきこもりの問題は、ひきこもりによってひきおこされるさまざまな二次的症状も問題となります。8割にみられる対人恐怖症以外に、被害関係念慮、脅迫症状、家庭内暴力、不眠、仰うつ気分、自殺念慮、摂食障害、心身症状、心気症状、などがみられるようになります。家庭内暴力は半数にみられ深刻です。しかし、これらはひきこもりによる結果であって、その逆ではありません。それは、ひきこもりの長期化によってこれらの症状が憎悪すること、ひきこもりが中断する(入院など)と症状が改善したり・なくなったりすること、再びひきこもるとまた症状があらわれるようになるからです。つまりひきこもりという状態そのものが外傷となってそのことでさまざまな症状を二次的にもたらすと考えられるのです。ですからできるだけ早く対処しキズが浅いうちに対処することが必要なのです。上記の斎藤は、数年以上慢性化したひきこもりでは専門家による治療なしでは回復不可能と断言しており、家族の中の第三者である治療者を介入することの必要を力説しています。また不登校=ひきこもりではありませんが、ひきこもりのきっかけになることも少なくないので、長期化する不登校は放っておかないほうがよいでしょう。

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