No.22 笑いの涙・怒りの涙
笑いの涙・怒りの涙
涙は嬉しい時、悲しい時、悔しい時、いろいろな感情に支配された時に出てきますが、その涙にはある区別があります。涙腺は交感神経と副交換神経の両方が支配していますが、どちらかといえば副交感神経が主となっています。たとえば面白いテレビ番組を観ていて笑う時、笑いの最初の段階ではもの珍しさや驚きを伴うために、緊張度の高い交感神経が優位に立っています。そのうち笑いが快くなってくると緊張がリラックスにかわり、副交感神経が優位になると大笑いして涙がこぼれる、ということになります。またつらい出来事があったり悲しい映画を観たりして、強い感情の起伏が生じると、副交感神経が興奮して涙腺が刺激された結果です。どちらの涙も同じ涙腺から出た涙ですが、副交感神経が興奮して流れた涙の方が量は多く、粘液成分と油脂成分が少なくて水っぽいけれどカリウムが多いのです。これに対し怒りや悔しさで交感神経が興奮してにじみ出した涙は濃度が濃く、ややナトリウムが多くて塩味が強い、『しょっぱい涙』なのです。もともと副交感神経は内臓や分泌線の働きを活性化する性質をもっているので、交換神経が刺激された時よりも涙腺は活発に働くのです。