第20回 睡眠のリズム
睡眠は、脳や身体の疲労回復をするために必要な生理現象で、心身の養生として基本的なことです。生体には、午後1~2時ごろの小さな眠気と夜間の大きな眠気が2回あり、それが自然な睡眠リズムです。夜間の睡眠では深い眠りがおきる最初の3時間に成長ホルモンが分泌されます。このホルモンは思春期の身体つくりに必要ですが、その後も脳や身体の組織の修復、強化、増殖にはかかせません。
しかし加齢が進むと眠りが浅くなり、このホルモンの分泌が減少してくるので、夜の睡眠をしっかりとることが養生につながってくるのです。夜の深い睡眠をとるひとつの方法として15~30分の昼寝です。老人大学という高齢者の集まりで、心理テストから意欲的なグループと消極的なグループを選び、睡眠の状態を調べたところ、意欲的なグループの方が昼寝をとる率が高かったのです。さらに昼寝には決まった時間にとる積極的昼寝と襲ってくる眠気に負けて昼寝をとる消極的昼寝があり、二つのグループに分けて、夜間の睡眠状態を調べたところ、積極的昼寝をとったほうが、不眠の訴えが少ないことがわかりました。睡眠のリズムをきっちり守ることで、夜の睡眠がスムーズだと考えられます。また睡眠には体温リズムも関係し、昼間活動的に運動すると体温は上昇し、夜になると低下しますが、その変動が大きいほど熟睡できます。運動する時間帯は最も活動が高まる午後がよいとされます。最近では2000~3000ルクスの人工光線が人の生体リズムを強く同調させることがわかり、昼間の太陽光線を浴びることが夜間の深い睡眠をとるためには必要不可欠なのです。このことからも日中は活動的に運動をし、趣味をもつなど意欲的な生活をして、生体リズムを強化することで、質の良い睡眠をしっかりとることが養生につながるのです。