白内障は長生きの宿命?
目のレンズの濁りによって起こる白内障は、目の病気や糖尿病などの全身性の病気によって早くから発症、悪化することはありますが、そもそもは自然老化による現象のひとつです。40才を過ぎるとそろそろ起きはじめ、60才以上では25%、80~85才で80~90%、90才以上になると100%、全員が多少なりとも老人性白内障になります。だいたいはレンズの周辺部から起こることが多いのですぐに視力障害に気づくことはありません。
ものが見えにくくなったり、明るいところがまぶしくなって見づらいときには白内障が進んでいるのかもしれません。そもそも目のレンズには血管が入っておらず、レンズの実質成分であるタンパク質は新陳代謝をしません。しかしレンズタンパクは目を開けている限り光を通しますから光による変性を受け続けています。特に紫外線によるタンパク変性の影響が大きく、変性したタンパク質はまわりの分子に反応を起こして硬く、濁ってくるのです。もともとレンズには変性をおさえるビタミンCやグルタチオンなどの成分があるのですが、白内障レンズではそれらの成分のほとんどが失われていますし、タンパク質も分子が大きくなって水に溶ける性質を失っています。老化のひとつですから完全な予防は無理ですが、栄養のバランスに気をつけて日差しを避けることが予防となります。発展途上国では50才前から手術を要するような白内障が多いということから、栄養障害でも白内障になると考えられます。また紫外線は明らかに白内障を悪化させます。晴天の戸外ではサングラスをかけて帽子で日光をさえぎるなどの工夫をすべきでしょう。最近では白内障の手術も確実になってきて、水晶体の核と皮質を取り出して人工レンズを入れる手術法が確立されています。体力さえあれば手術は行えますが、ひどい高血圧や心臓病、糖尿病で血糖コントロールの悪い人などは無理になります。