ぬるい湯が血栓予防
高齢者は臓器、組織ともに衰えていきますが、知覚もかなり鈍くなる傾向があります。 ですから入浴時、体感的には気持ちよいと感じられるお湯も、実際にはかなり高い温度になっている場合が多いのです。ところが、このお湯の温度は血液の粘性と密接な関係を持っていて、お湯の温度が42℃を超えると血栓の生成を促進するといわれています。
その危険因子は、 ?凝固因子である血小板を活性化させる物質は42℃以上の熱い湯のなかで血中濃度が高まる。 ?血栓を溶かす働きをするプラスミンの生成を促進する物質は38~40℃で増えます。しかし42℃以上では阻害する物質が増える。 ?血液の粘度がもっとも高いのが42℃の全身浴。もっとも低かったのが38℃の全身浴。 ?熱い湯は交感神経を刺激して血圧を上げる作用がある。 などです。このように高齢者の熱い風呂の危険性はあきらかです。お湯の温度が39~40℃で心臓に負荷をかけないためにみぞおちの下までつかる半身浴がおすすめです。また、あまり長湯をせず、一回3~5分くらいにして、身体をあらったり、水を飲んだりしながら、何回かに分けた入浴がよいと思います。とくに高血圧症、糖尿病などの動脈硬化の可能性のある高齢者はこのような入浴法がよいでしょう。